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消費税増税分の使途と、福祉目的税化の意味

4月1日からの消費税率改定。増税分税率の国税地方税への振り分けについては前回解説した。このうち、地方税に振り分けられる分については、新たに使途が限定されている。まずはそちらから見ていこう。

地方税増税分の使途

今回の消費税増税は、社会保障施策を行うためという名目のものだ。そのことを象徴するかのように、地方税における増税分の使途が限定されている(これまでは、国税分のみ目的税化されていた。後述)。これまでの税率分、つまり国地方合計税率5%における地方税分1%については従来通りの一般財源で構わないが、8%税率時の地方税増税分0.7%、10%税率時の地方税増税分1.2%について、用途は社会保障4経費ならびにその他社会保障施策に充てることと定められている。

社会保障4経費とは

  • 年金にかかる経費
  • 医療にかかる経費
  • 介護にかかる経費
  • 子育てにかかる経費

増税分の市区町村への交付基準が、従来分と異なり人口数比率のみを基準とするということは前回既に説明したと思う。税金を発生箇所に公平に還元するのではなく、社会保障経費として集めた富の再配分を行っていることになる。

消費税の国税分収入の使途

消費税の国税分収入について、これまで5%税率においては、うち29.5%が地方交付税の財源のひとつとして充てられ、残りの70.5%の使われ方が社会保障予算として限定されていた。実は先程出てきた単語、社会保障4経費であるが、元はと言えば4経費から子育てを除いた、高齢者3経費と呼ばれていたものだ。国税消費税の使い道を高齢者3経費に限定するというのが、1999年の予算総則以降加えられたものであり、消費税は元々一部ながら福祉目的税化を果たしていた,ということになる。

ちなみに、消費税率の改定にしたがって国税分における地方交付税分割合も変動することとなる。

消費税の国税分における地方交付税割合
改定時期(国税分税率)地方交付税割合国税分×地方交付税割合
平成元年4月(3%) 24.0% 0.72%
平成9年4月(4%) 29.5% 1.18%
平成26年4月(6.3%) 22.3% 1.40%
平成27年4月(6.3%)
平成27年10月(7.8%)
20.8% 1.47%
平成28年4月(7.8%) 19.5% 1.52%

たとえば平成28年4月以降に10000円の品物を購入したとすると、消費税の地方交付税分として152円が充てられるということになる。

"スキマ"がある現状消費税自体の目的税化に意味は無い

さて、地方交付税を除いた分の国税消費税は現在でも社会保障の経費に充てられているということだが、たとえば平成25年度の予算の場合、国税消費税分7.5兆円の収入に対して、高齢者3経費の合計支出が17.8兆円となっている(参考資料:消費税の使途:財務省)。つまり、消費税収入だけでは圧倒的に足りていない。そこで、必要分の支出と収入の差額の部分を他の財源からまかなっているという状況になっている(特例公債など)。ちなみに財務省の資料などでは、この不足分を"スキマ"と表現している。

消費税が10%まで上がると、この"スキマ"が果たしてどうなるのかということだが、10%まで税率が上昇した後の平成29年度の試算で、国と地方合わせた社会保障4経費の合計が44.5兆円。国税消費税税収は25.2兆円、差額は19.3兆円になる。差額が広がる要因には、新たに社会保障の充実のための2.8兆円が必要経費として見込まれること、消費税引き上げに伴う経費増0.8兆円が生じること、年金国庫負担1/2等で3.2兆円が見込まれることなどが挙げられる(参考資料:社会保障・税一体改革による社会保障の充実:内閣官房)。

消費税の引き上げで増える税収分が14.0兆円であることを考えると、新たに増える経費を差し引いて7.3兆円分が、スキマの穴埋めに使われる。7.3兆円には資料の図表で"後代への負担のつけ回しの軽減"という題目がついているが、要するにこれまでスキマを埋めるために行った特例公債の発行は、後代への負担のつけ回しにあたるため、公債発行を置き換えるこの7.3兆円部分は福祉目的ですという宣言に他ならない。

もちろん、浮いた部分にあたる公債を、他の目的のために使用することも可能だろう。その可能性について消費税の福祉目的税化が制限することはない。つまり、スキマがあることで、公債発行を置き換える増税について"後代への負担のつけ回しの軽減"という"福祉目的"を適宜用意することが可能になったのである。

"スキマ"論法での増税が今後もあるのではないか

今回降って湧いた高齢者3経費の社会保障4経費化であるが、今後社会保障5経費、6経費、と目障りな必要経費を全て社会保障経費の名目に参入してしまうことで、目的税となった消費税でそれらをまかなわなければならないという論調を吹かせつつ、他の財源や公債の使途についてはくびきを断ち切っていくことができるだろう。

また、増税の動機となる切迫感の演出もし易い。膨れ上がっていく社会保障経費の棒グラフを見て、国民は「仕方が無い」との気にさせられてしまうのではなかろうか。

 

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