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消費税に複数税率を導入すると、農家がこぞって課税事業者を選択し、税務がパンクする(桶屋は儲からない)

消費税率を上げるということになると、税金の所得に対する逆進性が問題になってくる。消費税は万人から等しく徴収される税ということで、消費税財源をもとに予算の大部分をまかなう方針ができてくると、高所得者の総税収における貢献率が低くなり、その分は低所得者の生活必需品購入費用などに掛かる税でまかなわれることとなる。所得税など、所得に応じた累進課税の総税収における割合が下がることで、金持ちはのうのうと暮らし、低所得者は日用品の調達にも事欠くようになるというわけだ。

そこで、消費税率アップの話とセットで必ず語られる印象があるのが、複数税率の導入。生活必需品(食品など)にかかる税率を低く、奢侈品に掛かる税率を高くするという方法だ。

消費税の複数税率は気軽に導入できない

消費税の複数税率はいかにも妥当な方法であり、このたびの8%税率の導入時にも既に導入されていないのがおかしいくらいに思えよう。しかしながら、ことはそう単純ではない。導入によって、これまで回避することの出来ていた手間とコストが、事業者側にも行政側にも降り掛かるのだ。

消費税が一律であると、原則課税方式で仕入税額控除の際の税額計算が、課税仕入高に税率を掛けるといったかたちで計算できる。そのため、領収書には発生金額の内消費税分を記載する必要が無いし、またそれゆえに免税事業者と課税事業者の間で渡される領収書も辻褄が合うこととなる(課税事業者側は、免税事業者の請求金額から消費税分を推測してよい)。

ところが税率が一律でなくなると、仕入売上ともにそれぞれどの税率が掛かったものなのか判断できないと、税額控除ができない。領収書には消費税部分の金額も記載が必須になるだろう。そして仕入れ税額を控除する際には、これを一つ一つ集計して辻褄を合わせないといけないので、これまでよりも手間がかかる。もちろん、国が消費税分が正しく報告されているかチェックする際の手間も増す。

生活必需品に低税率だと、生産者は課税事業者にならないと損

また、中小企業が免税事業者であり続けることが出来る免税点制度も有名無実化する。消費税の免税点制度が何故存在するかというと、国が中小企業における事務作業の煩雑化を慮ってそういった制度をつけているのみではなく、零細中小企業や屋号のみの雑多な事業者にいたるまで課税事業者扱いしてしまうと、国の消費税関連の事務にも多大な負担がかかってしまうから、こういった制度を設けているのである。

ところが、たとえば農家が複数税率導入後に免税事業者であったとすると、仕入に掛かる消費税率は高く、売上により預かる消費税額は少なく、といった形で、免税事業者であり続ける限り消費税で損をしてしまう。そこで、全国津々浦々の農家が課税事業者となり、実際発生額を元にした仕入税額控除を行うことを希望するだろう。現在の農家の免税事業者率は非常に高いものとなっているが、これらの事業者が全て課税事業者を選択すると、消費税に掛かる事務作業が事業者/行政どちらについても著しく増加してしまうわけだ。

 

というわけで、消費税の複数税率導入は諸刃の剣となる。全ての経済活動を把握できる、電子通貨のような仕組みが出てこないとうまくいかないシステムである。

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